第Ⅱ相臨床試験(⽤量漸増試験)
⽇本⼈患者を含む軟⾻無形成症患者を対象とした海外臨床試験(111-202試験)
及び継続試験(111-205試験)
- 【承認時評価資料】海外第Ⅱ相試験︓111-202試験
(承認年⽉⽇︓2022年6⽉20⽇、CTD2.7.6.3) - 【承認時評価資料】海外第Ⅱ相試験︓111-205試験
(承認年⽉⽇︓2022年6⽉20⽇、CTD2.7.6.4)
2019年11⽉20⽇データカットオフまでのデータを紹介する。
2.5μg/kg、7.5μg/kg、30μg/kgの投与群は、承認外の⽤法及び⽤量であるため、有効性データは削除した。
立位身長(有効性評価項目/5年横断比較解析)
身長のベースラインと5年後の差をボックスゾゴ®皮下注用[一般名:ボソリチド(遺伝子組換え)](以下、本剤)群と外部対照(AchNH研究)のデータで比較したところ、その差は9.08cmであった。
AchNH研究:軟骨無形成症(以下、ACH)の自然経過観察研究ACH患者の成長(身長、成長速度、体重、BMI)を特徴づける目的で設計された医師主導のレトロスペクティブ多施設共同試験。米国の高度専門骨格異形成センター4施設で実施され、体系的、包括的にデータを収集した。
年間成⻑速度のベースラインからの変化量(有効性評価項⽬)
本剤投与による年間成⻑速度のベースラインからの平均変化量は、60ヵ⽉時で1.34cm/年であり、60ヵ⽉時までの全投与期間にわたって、ベースラインからの改善が認められた。
安全性(安全性評価項⽬)
・111-202試験
有害事象の発現率は、最初の6ヵ⽉間、全試験期間において、いずれのコホートも100.0%(コホート1︓8例、コホート2︓8例、コホート3︓10例、コホート4︓9例)であった。
主なものは、最初の6ヵ⽉間では、コホート1で注射部位紅斑、注射部位腫脹、頭痛、咳嗽及び発熱各4例(50.0%)、コホート2で注射部位紅斑7例(87.5%)、注射部位反応6例(75.0%)、低⾎圧4例(50.0%)、コホート3で注射部位紅斑9例(90.0%)、注射部位反応8例(80.0%)、低⾎圧及び注射部位腫脹各4例(40.0%)、コホート4で注射部位紅斑及び注射部位反応各9例(100.0%)、咳嗽4例(44.4%)であった。
全試験期間では、コホート1で注射部位反応6例(75.0%)、注射部位紅斑、低⾎圧、注射部位腫脹、発熱及び咳嗽各5例(62.5%)、コホート2で注射部位紅斑及び注射部位反応各7例(87.5%)、低⾎圧5例(62.5%)、コホート3で注射部位紅斑9例(90.0%)、注射部位反応8例(80.0%)、注射部位腫脹、発熱及び⿐咽頭炎各5例(50.0%)、コホート4で注射部位紅斑及び注射部位反応各9例(100.0%)、咳嗽、注射部位蕁⿇疹及び四肢痛各4例(44.4%)であった。
治験薬と関連のある有害事象
最初の6ヵ⽉間では、コホート1で7例(87.5%)、コホート2で8例(100.0%)、コホート3で9例(90.0%)、コホート4で9例(100.0%)にみられた。主なものはコホート1で注射部位紅斑及び注射部位腫脹各4例(50.0%)、注射部位反応及び低⾎圧各2例(25.0%)、コホート2で注射部位紅斑7例(87.5%)、注射部位反応6例(75.0%)、低⾎圧4例(50.0%)、コホート3で注射部位紅斑9例(90.0%)、注射部位反応8例(80.0%)、注射部位腫脹及び低⾎圧各4例(40.0%)、コホート4で注射部位紅斑及び注射部位反応各9例(100.0%)、注射部位蕁⿇疹3例(33.3%)であった。
全試験期間では、コホート1で7例(87.5%)、コホート2で8例(100.0%)、コホート3で9例(90.0%)、コホート4で9例(100.0%)にみられた。主なものはコホート1で注射部位反応6例(75.0%)、注射部位紅斑及び注射部位腫脹各5例(62.5%)、コホート2で注射部位紅斑及び注射部位反応各7例(87.5%)、低⾎圧5例(62.5%)、コホート3で注射部位紅斑9例(90.0%)、注射部位反応8例(80.0%)、注射部位腫脹5例(50.0%)、コホート4で注射部位紅斑及び注射部位反応各9例(100.0%)、注射部位蕁⿇疹4例(44.4%)であった。
重篤な有害事象
最初の6ヵ⽉間では認められなかった。
全試験期間では、コホート1に1例(睡眠時無呼吸症候群)、コホート3に1例(扁桃肥⼤)、コホート4に1例(甲状⾆管嚢胞)認められ、いずれも治験薬と関連なしと判断された。
投与中⽌に⾄った有害事象
コホート4に1例(間⽋性ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群)認められ、治験薬と関連ありと判断された。
死亡例
死亡例は認められなかった。
治療薬と関連のある有害事象(全試験期間)
・111-202/205試験
有害事象の発現率は、いずれのコホートも100.0%(コホート1︓6例、コホート2︓6例、コホート3︓10例、コホート4︓8例)であった。
主なものは、コホート1で発熱6例(100.0%)、注射部位反応、咳嗽及び頭痛各5例(83.3%)、コホート2で注射部位紅斑6例100.0%)、注射部位反応、⽿感染及び⽿痛各5例(83.3%)、コホート3で注射部位紅斑9例(90.0%)、注射部位反応及び上咽頭炎各8例(80.0%)、コホート4で注射部位紅斑及び注射部位反応各8例(100.0%)、発熱、中⽿炎及び四肢痛各4例(50.0%)であった。
治験薬と関連のある有害事象
コホート1で5例(83.3%)、コホート2で6例(100.0%)、コホート3で10例(100.0%)、コホート4で8例(100.0%)にみられた。
主なものは、コホート1で注射部位反応5例(83.3%)、注射部位紅斑及び注射部位腫脹各4例(66.7%)、コホート2で注射部位紅斑6例(100.0%)、注射部位反応5例(83.3%)、注射部位腫脹及び低⾎圧各3例(50.0%)、コホート3で注射部位紅斑9例(90.0%)、注射部位反応8例(80.0%)、注射部位腫脹5例(50.0%)、コホート4で注射部位紅斑及び注射部位反応各8例(100.0%)、注射部位蕁⿇疹及び注射部位疼痛各3例(37.5%)であった。
重篤な有害事象
コホート1に2例(睡眠時無呼吸症候群、脊髄空洞症)、コホート3に1例(扁桃肥⼤)、コホート4に1例(甲状⾆管嚢胞)認められ、いずれも治験薬と関連なしと判断された。
投与中⽌に⾄った有害事象
111-205試験で1例(トランスアミナーゼ上昇)認められ、治験薬と関連ありと判断された。
死亡例
死亡例は認められなかった。
治療薬と関連のある有害事象
6.⽤法及び⽤量通常、ボソリチド(遺伝⼦組換え)として、2歳以上の患者には15μg/kgを、2歳未満の患者には30μg/kgを1⽇1回、⽪下注射する。
ただし、1回投与量は1mgを超えないこと。
患者背景(111-202試験)
試験概要
【目的】
111-202試験ボックスゾゴ®⽪下注⽤[⼀般名︓ボソリチド(遺伝⼦組換え)](以下、本剤)連⽇⽪下投与の安全性及び忍容性について、24ヵ⽉の試験期間を以下の2つの期間で評価する
- ・最初の6ヵ⽉間
- ・18ヵ⽉の継続投与期間(任意)
111-205試験軟⾻無形成症(以下、ACH)⼩児患者に本剤を連⽇⽪下投与し、⻑期安全性及び忍容性を評価する
【対象】
111-202試験5〜14歳のACH⼩児患者35例(⽶国内⽇本⼈患者1例含む)
111-205試験111-202試験で2年間の本剤投与を完了し、適格と判断されたACH⼩児患者30例(⽶国内⽇本⼈患者1例含む)
【試験⽅法】
111-202試験第Ⅱ相、多施設共同、⾮盲検、連続コホート、⽤量漸増
以下のいずれかの⽤量で、本剤を1⽇1回連⽇⽪下投与した。
- ・コホート1︓毎朝2.5μg/kg
- ・コホート2︓毎朝7.5μg/kg
- ・コホート3︓毎朝15μg/kg
- ・コホート4︓毎朝30μg/kg
成⻑ホルモン製剤は併⽤しないこととされた。
最初の6ヵ⽉間各コホートにはセンチネル患者を2例ずつ登録し、Day 10に達した時点でデータモニタリング委員会(DMC)によるレビューを⾏った。2例のセンチネル患者が中⽌基準に合致しなかった場合、DMCによるレビュー及び承認後に残りの患者を登録した。投与開始後、最初の6ヵ⽉間は固定⽤量を投与した。コホート内のすべての患者が最初の10⽇間の投与期間を完了後、すべての患者がコホートの投与中⽌基準に合致しなかった場合、DMCによるレビュー及び承認後に次の⾼⽤量コホートの登録を開始した。
18ヵ⽉の継続投与期間(任意)Day
183(6ヵ⽉⽬)の来院時、継続投与期間に参加することを選択した患者は継続投与期間の初回投与を受けた。
低⽤量コホートでは、治験実施計画書で事前に規定した基準に基づき、継続投与期間中の増量が許容された。
⽬標臨床⽤量は、良好な忍容性及び改善効果が認められた最初の6ヵ⽉間と同じ⽤量とした。
111-205試験第Ⅱ相、多施設共同、⾮盲検、⻑期継続投与
111-202試験完了時と同⽤量(コホート1〜3は15μg/kg、コホート4は30μg/kg)を1⽇1回連⽇⽪下投与した。
投与期間は、最終身長(骨端線閉鎖の確認及び6ヵ月ごとの年間成長速度が1.5cm/年未満)に達するまで、又は5年以内に最終身長に達した場合は5年間とした。
【評価項⽬】
111-202試験
- 成⻑測定項⽬
- ・⽴位⾝⻑、座⾼、体重、頭囲、上腕及び下腕の⻑さ、下肢⻑、腕を広げた⻑さなど
- 有効性評価項⽬
- ・⽴位⾝⻑に基づく年間成⻑速度のベースラインからの変化量年間成⻑速度︓[(投与期間終了後の⾝⻑-投与期間開始時の⾝⻑)÷(投与期間終了⽇-投与期間開始⽇)]×365.25
- ・成⻑データ(⽴位⾝⻑、座⾼、体重、頭囲、上腕及び下腕の⻑さ、下肢⻑、腕を広げた⻑さなど)のベースラインからの変化量
- ・⾝体⽐率(上腕⻑対下腕⻑⽐率、上腿⻑対下腿⻑⽐率及び上体と下体の⾝体⽐率)のベースラインからの変化量
- 安全性評価項⽬
- ・有害事象、重篤な有害事象、臨床検査(⾎液学的検査、⽣化学検査、尿検査)、バイタルサイン、⾝体的検査、12誘導⼼電図、⼼エコー、画像評価、股関節の臨床評価及び免疫原性
上体と下体の⾝体⽐率︓座⾼÷(⽴位⾝⻑-座⾼)
上腿⻑対下腿⻑⽐率︓上腿⻑(⼤腿)÷下腿⻑(膝から踵までの⻑さ)
上腿⻑(⼤腿)÷脛⾻⻑
111-205試験
- 有効性評価項⽬
- ・⽴位⾝⻑に基づく年間成⻑速度の111-202試験のベースラインからの変化量
- ・⾝⻑Zスコアの111-202試験のベースラインからの変化量
- ・⾝体⽐率(上腕⻑対下腕⻑⽐率、上腿⻑対下腿⻑⽐率及び上体と下体の⾝体⽐率)の111-202試験のベースラインからの変化量
- 安全性評価項⽬
- ・有害事象、重篤な有害事象、臨床検査(⾎液学的検査、⽣化学検査、尿検査)、バイタルサイン、⾝体的検査、12誘導⼼電図、⼼エコー、X線検査、定量的CT及び股関節の臨床評価
【解析計画】
111-202試験有効性について、年間成⻑速度は、6ヵ⽉ごとの⽴位⾝⻑の測定値に基づき、要約統計量(平均値、SD、中央値、最⼩値、最⼤値)を⽤いて要約した。「年間成⻑速度がベースラインと⽐較して差がない」という仮説に対して、最初の6ヵ⽉の結果で対応のあるt検定を⾏うが、p値は記述分析的なものとみなされた。
⾝体⽐率のベースラインからの変化量についても、同様に最初の6ヵ⽉の結果を要約し、検定を⾏った。
⽴位⾝⻑の測定値はZスコア[年齢-性別に応じた標準偏差値(SDS)]に変換し、Zスコアを成⻑速度と同様に要約した。結果は⽤量別及びコホート全体で要約した。Zスコアは、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の標準⾝⻑の性別及び年齢別の参照データ(平均値及びSD)を⽤いて算出した。
その他の成⻑データ(座⾼、体重、頭囲、上腕及び下腕の⻑さ、腕を広げた⻑さなど)は、各時点で要約し、ベースラインからの変化量を評価した。
111-205試験有効性について、年間成⻑速度、⽴位⾝⻑、⾝⻑Zスコア及び上体と下体の⾝体⽐率のベースラインからの変化量に関する追加解析では多重性を調整していないため、p値は検証⽬的では⽤いられない(対応のあるt検定を⽤いて検定し、要約表には両側p値を⽰した)。
コホート3での5年間の⽐較解析⾃然経過観察(AchNH研究a)データを⽤いて、外部対照との⻑期有効性データの⽐較解析を⾏った。主要な解析として5年の横断解析を事前に規定した。ベースラインと5年⽬の⾝⻑の差を、コホート3(本剤15μg/kg)と性別と年齢を⼀致させた外部対照のデータで⽐較した。
a︓ACH患者の成⻑(⾝⻑、成⻑速度、体重及びBMI)を特徴づける⽬的で設計された医師主導のレトロスペクティブ多施設共同試験。
6.⽤法及び⽤量通常、ボソリチド(遺伝⼦組換え)として、2歳以上の患者には15μg/kgを、2歳未満の患者には30μg/kgを1⽇1回、⽪下注射する。
ただし、1回投与量は1mgを超えないこと。