第Ⅲ相臨床試験
日本人患者を含む軟骨無形成症患者を対象とした国際共同臨床試験
(111-301試験・検証試験)
- 【承認時評価資料】国際共同第Ⅲ相試験︓111-301試験
(承認年⽉⽇︓2022年6⽉20⽇、CTD2.7.6.5) - Savarirayan R et al. Lancet. 2020; 396(10252)︓684-692.
- [利益相反︓本研究はバイオマリンの⽀援のもと実施された。
バイオマリン社員が著者に含まれている。]
52週時の年間成⻑速度のベースラインからの変化量(主要評価項⽬)
・52週時の年間成⻑速度のベースラインからの変化量(ANCOVAモデル)(主要評価項⽬)(検証的解析結果)52週時の年間成⻑速度のベースラインからの最⼩⼆乗平均変化量は、プラセボ群で0.13cm/年、ボックスゾゴ®皮下注用[一般名:ボソリチド(遺伝子組換え)](以下、本剤)群で1.71cm/年、両群の差は1.57cm/年であり、本剤群のプラセボ群に対する優越性が検証された(p<0.0001)。
・経時的な年間成⻑速度経時的な年間成⻑速度は下記のような推移を⽰した。
安全性
有害事象は、プラセボ群60/61例(98.4%)、本剤群59/60例(98.3%)にみられた。主なものは、プラセボ群で注射部位紅斑40例(65.6%)、注射部位反応29例(47.5%)、上咽頭炎18例(29.5%)、本剤群で注射部位反応44例(73.3%)、注射部位紅斑41例(68.3%)、注射部位腫脹23例(38.3%)であった。
治験薬と関連のある有害事象は、プラセボ群51例(83.6%)、本剤群53例(88.3%)にみられた。主なものは、プラセボ群で注射部位紅斑39例(63.9%)、注射部位反応28例(45.9%)、注射部位内出⾎及び注射部位出⾎各7例(11.5%)、本剤群で注射部位反応43例(71.7%)、注射部位紅斑41例(68.3%)、注射部位腫脹23例(38.3%)であった。
重篤な有害事象は、プラセボ群に4例(⾍垂炎、アデノイド肥⼤、呼吸困難及び頭蓋内圧上昇・脊髄圧迫)、本剤群に3例(インフルエンザ、橈⾻⾻折及びアデノイド肥⼤・睡眠時無呼吸症候群)認められ、いずれも治験薬と関連なしと判断された。
投与中⽌に⾄った有害事象は、本剤群で1例(処置による不安)認められた。
死亡例は認められなかった。
参考情報日本人における結果
⾻端線閉鎖を伴わない軟骨無形成症(以下、ACH)は希少疾病であり、本試験に組み⼊れた⽇本⼈患者は7例です。
限られたデータではありますが、適正使⽤情報提供のため紹介します。紹介したデータは臨床症例の⼀部であり、すべての症例が同様な結果を⽰すわけではありません。
患者背景(⽇本⼈患者)
タナー分類:性成熟度の指標。Ⅰ期(思春期が始まらない)~Ⅴ期(成人の成熟状態)の5段階により評価される。
52週時の年間成⻑速度のベースラインからの変化量(⽇本⼈患者)
⽇本⼈患者における52週時の年間成⻑速度のベースラインからの平均変化量は、プラセボ群で-1.03cm/年、本剤群で-0.29cm/年であった。
安全性(⽇本⼈患者)
⽇本⼈患者における有害事象の発現率は、プラセボ群4例、本剤群3例のいずれも100.0%であった。内訳は、プラセボ群で便秘2例(50.0%)、注射部位反応、注射部位紅斑、上咽頭炎、注射部位出⾎、発熱、⼿⾜⼝病、中⽿炎、関節痛、頚部痛、接触⽪膚炎、悪⼼、嘔吐及び陰部そう痒症各1例(25.0%)、本剤群で注射部位反応及び上咽頭炎各2例(66.7%)、注射部位紅斑、注射部位腫脹、四肢痛、胃腸炎、レンサ球菌感染、関節障害及び薬疹が各1例(33.3%)であった。
治験薬と関連のある有害事象は、プラセボ群1例(25.0%)、本剤群3例(100.0%)にみられた。内訳は、プラセボ群で注射部位出⾎1例(25.0%)、本剤群で注射部位反応2例(66.7%)、注射部位紅斑、注射部位腫脹、関節障害及び四肢痛各1例(33.3%)であった。
重篤な有害事象、投与中⽌に⾄った有害事象、死亡例は認められなかった。
患者背景
試験概要
【目的】
52週時の年間成⻑速度のベースラインからの変化量をボックスゾゴ®⽪下注⽤[⼀般名︓ボソリチド(遺伝⼦組換え)](以下、本剤)群とプラセボ群で⽐較する
【対象】
5~18歳未満の軟⾻無形成症(以下、ACH)⼩児患者121例(⽇本⼈7例含む)
【試験⽅法】
第Ⅲ相、多施設共同、無作為化、⼆重盲検、プラセボ対照
本剤群⼜はプラセボ群に1︓1の⽐で無作為割り付けした。本剤15μg/kg⼜はプラセボを1⽇1回52週⽪下投与した。成⻑ホルモン製剤は併⽤しないこととされた。
【評価項⽬】
- 成⻑測定項⽬
- ・⽴位⾝⻑、座⾼、体重、頭囲、上腕及び下腕の⻑さ、下肢⻑、腕を広げた⻑さ、並びにBMIなど
- 主要評価項⽬(検証的解析項⽬)
- ・⽴位⾝⻑に基づく、52週時の年間成⻑速度のベースラインからの変化量年間成⻑速度︓[(ベースライン後来院時の⾝⻑-ベースライン時の⾝⻑)÷(ベースライン後来院⽇-ベースライン評価⽇)]×365.25
- 副次評価項⽬(検証的解析項⽬)
- ・52週時の⾝⻑Zスコアのベースラインからの変化量
- ・52週時の上体と下体の⾝体⽐率のベースラインからの変化量
- 安全性評価項⽬
- ・有害事象、重篤な有害事象、臨床検査(⾎液学的検査、⽣化学検査及び尿検査)、バイタルサイン、⾝体的検査、12誘導⼼電図、画像評価(X線検査による⾻年齢の評価、並びに⼆重エネルギーX線吸収測定法による⾻密度及び⾻塩量の評価)、⼦供の⾏動チェックリスト(CBCL)、股関節の臨床評価及び視床下部-下垂体-副腎⽪質系の活性化
【解析計画】
有効性の主解析(主要評価項⽬及び主な副次評価項⽬)主要評価項⽬及び2つの主な副次評価項⽬について、以下の3ステップのシリアルゲートキーピング法を⽤いて多重性を調整し検証的に解析した。
- ステップ1︓
- 52週時の年間成⻑速度のベースラインからの変化量(主要評価項⽬)
- ステップ2︓
- 52週時の⾝⻑Zスコアのベースラインからの変化量(主な副次評価項⽬)
- ステップ3︓
- 52週時の上体と下体の⾝体⽐率のベースラインからの変化量(主な副次評価項⽬)
すべての仮説検定は両側、有意⽔準0.05とし、本剤群とプラセボ群の間に有意差が認められた場合に限り次のステップに進むこととした。主解析で有意性が認められ(p<0.05)、本剤が有意とされた場合に、本試験の結果が肯定的であると判断した。
52週時の本剤群とプラセボ群の治療効果の差は、治療群、ベースラインの年齢、年間成⻑速度及び⾝⻑Zスコア、並びに層別因⼦(男性タナーⅠ期、⼥性タナーⅠ期、男性タナー>Ⅰ期、⼥性タナー>Ⅰ期)を共変量として、共分散分析(ANCOVA)を⽤いて解析した。
52週時の⽴位⾝⻑の測定値が⽋測している場合、ベースラインの年間成⻑速度(cm/年)を最後に測定した⾝⻑に適⽤することにより、52週時の⾝⻑を推定した。また、⽴位⾝⻑の各測定値は、アメリカ疾病管理予防センター(CDC)の標準⾝⻑の性別及び年齢別の参照データ(平均値及びSD)を⽤いてZスコアに変換した。上体と下体の⾝体⽐率は、座⾼及び⽴位⾝⻑から算出した。
タナー分類︓性成熟度の指標。Ⅰ期(思春期が始まらない)~Ⅴ期(成⼈の成熟状態)の5段階により評価される。
6.
⽤法及び⽤量通常、ボソリチド(遺伝⼦組換え)として、2歳以上の患者には15μg/kgを、2歳未満の患者には30μg/kgを1⽇1回、⽪下注射する。
ただし、1回投与量は1mgを超えないこと。