北岡先生
本症例は身長および合併症の点から早期の治療開始を検討したい患者さんと言えます。ボックスゾゴ®は投与開始年齢に制限がないことから、このような年齢の患者さんにも治療の選択肢となります。








ACHではFGFR3が恒常的に活性化しているため軟骨細胞の増殖・分化が過剰に抑制されています。ボックスゾゴ®はFGFR3の下流のシグナル伝達を抑制することで軟骨細胞の増殖・分化を回復させる点が特徴です3,4)。この作用機序の点から、FGFR3異常によってみられるACHの成長障害や合併症に対して良い影響がもたらされることが期待されます。
従来、ACHの低身長に対する内科的治療は成長ホルモン(GH)治療しか選択肢がありませんでした。ただしGH治療は3歳以上でないと導入できません5)。一方、ボックスゾゴ®は年齢制限なく使用できます。さらに5歳未満の患者さんを対象としたボックスゾゴ®の臨床研究では大後頭孔の面積、顔面・副鼻腔の容積などの検討があり6)、生後6ヵ月未満のコホートにおける結果は注目されています。
3歳未満での治療が可能で大後頭孔狭窄や睡眠時無呼吸に対して良い影響がもたらされることを期待して、生後2ヵ月である本症例に対してボックスゾゴ®の導入は治療の選択肢として検討できると思います。ボックスゾゴ®はまだ十分にエビデンスが整っていない部分もあるため、期待する治療効果と現実とのギャップが生じないようにエビデンスについて丁寧に説明することを心がけながら、ご家族と治療管理についての相談をしていくことが大切だと思います。