北岡先生
本症例は、思春期前でこれからIGF-1値が増えていく時期であり、年間成長速度の改善を期待してボックスゾゴ®への切り替えを検討します。
思春期は健常なお子さんにとって身長獲得の上で重要な時期です。ACHではFGFR3の恒常活性により成長軟骨帯での軟骨内骨化が抑制されており5)、思春期の身長スパートが欠如します。ボックスゾゴ®はFGFR3の下流のシグナル伝達を抑制することで成長抑制への影響が緩むため、思春期の成長抑制の軽減が期待できます。
国際共同第Ⅲ相試験である111-301試験において、ボックスゾゴ®はACH患者さんのベースラインからの年間成長速度をプラセボと比較して1.57cm/年上乗せさせたことが報告されており、さらに長期継続投与試験である111-302試験においては、年齢、性別ごとの年間成長速度の検討において思春期のスパートこそ認めないものの、年間成長速度の上乗せは比較的維持されていることから、思春期における成長も期待できる点がポイントです。




今回の症例は、Tannar分類が1度であることから思春期前であることが伺えます。これから徐々にIGF-1値は増加し自身の身長増加のポテンシャルが上がっていく段階に入ります。ボックスゾゴ®へ切り替えることで、今後のさらなる成長の可能性にも期待できるのではないでしょうか。