軟骨無形成症
医療関係者の皆様に、軟骨無形成症について詳しくご案内いたします。
プロローグ:ナトリウム利尿ペプチド(NP)と軟骨無形成症
NPは日本発の研究分野である1
ナトリウム利尿ペプチド系は、3種類のリガンドと、3種類の受容体〔ナトリウム利尿ペプチド受容体A、B、C(NPR-A,NPR-B,NPR-C)〕から構成される生体恒常性維持システムであることが明らかになっています。
そしてこれらNPファミリーの発見、生理作用解析、臨床応用は日本の研究者たちが世界に先駆けてリードしてきた分野であることが知られています。
NPファミリーの発見
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心房性ナトリウム利尿ペプチド2
Atrial Natriuretic Peptide;ANP- 1983年 寒川、松尾らにより発見された。
- 血管平滑筋・血管内皮のANP受容体(ナトリウム利尿ペプチドA;NPR-A)に結合し、血管を弛緩、拡張させ、全末梢抵抗(体血管系全体の抵抗)を低下させる。
- 腎臓ではこの血管拡張によりNa+と水の排出が増加する(利尿作用)。
- 急性心不全治療薬として応用されている。
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脳性ナトリウム利尿ペプチド2
Brain Natriuretic Peptide;BNP- 1988年寒川、松尾らにより発見された。
主に心室由来。 - NT-proBNPは心不全診断に応用されている。
- 1988年寒川、松尾らにより発見された。
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C型ナトリウム利尿ペプチド2
C-type Natriuretic Peptide;CNP- 1990年 寒川、松尾らにより発見された。
- 血管内皮細胞にて局所作用。
ANP・BNPに比べて弱い利尿・降圧作用。 - のちに骨形成における役割が明らかとなる。
CNPの臨床応用:軟骨無形成症
京都大学と国立循環器病センターの研究グループでは、これまでNPファミリー(ANP、BNP、CNP)の意義について研究が進められ、ANPとBNPの心・血管・腎保護作用を示していました。さらにCNPが骨において重要な骨形成因子であり、CNPを軟骨特異的に発現させることで軟骨形成不全症モデルマウスの病態をほぼ正常化しうることを見出しました。2
CNPは、1990年に日本で発見された内在性のナトリウム利尿ペプチドファミリーの一つで、ナトリウム利尿ペプチド受容体B(NPR-B)を活性化し、FGFR3シグナル伝達を阻害することにより、成長板における軟骨内骨化(内軟骨性骨化)促進作用を有しています。
BioMarin社では、上記のCNPの作用機序に基づき、CNPと類似する薬理活性を有するボックスゾゴ®(一般名:ボソリチド)を開発しました。3
History of CNP & Vosoritide
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1990
須藤、南野、寒川、松尾により日本でCNPが発見される4
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1994
軟骨無形成症(ACH)原因遺伝子の発見(FGFR3遺伝子変異)5
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2001
骨形成におけるCNPの役割の発見(CNPノックアウトマウスの低身長)6
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2004
CNPがACH表現型を改善できる可能性が示された(八十田、中尾ら)7
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2007
BioMarin社でCNPに関するプロジェクトが始動
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2011
FDAに治験新薬(IND)
申請 -
2012
BioMarin
Pharmaceutical Japan
株式会社設立 -
2021
欧州連合、米国にてVOXZOGO®承認取得
日本で製造販売承認申請 -
2022
日本においてボックスゾゴ®の製造販売承認を取得
軟骨無形成症について
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