フェニルケトン尿症(PKU)
フェニルケトン尿症の概要、疫学と日本での歴史についてご案内いたします。
フェニルケトン尿症(PKU)とは?
フェニルケトン尿症(PKU)とは何か
- フェニルアラニン(Phe)水酸化酵素(PAH)の欠損による疾患1-3
- PKU、テトラハイドロビオプテリン(BH4)反応性高フェニルアラニン(Phe)血症、BH4欠損症を含む高フェニルアラニン(Phe)血症の発生頻度は、約7万出生に1例で、全国で年間20人前後発見されます(厚生労働省・母子保健課「先天代謝異常等検査実施状況」より)4
- 1,200超のフェニルアラニン水酸化酵素(PAH)遺伝子変異が同定されています5
PKUの原因はフェニルアラニン水酸化酵素(PAH)をコードする遺伝子の変異6
- フェニルアラニン水酸化酵素(PAH)は、フェニルアラニン(Phe)をチロシン(Tyr)に水酸化する酵素
- テトラヒドロビオプテリン(BH4)はPAHの酵素活性に必要な補酵素
- PAHまたはBH4の欠損によるPAHの不足は、PheのTyrへの変換を減少させ、血中Phe濃度の上昇を引き起こします
フェニルケトン尿症(PKU)の疫学
PKU発症率の推定値
フェニルケトン尿症(PKU)発症率の推定値7-9
日本におけるフェニルケトン尿症(PKU)の歴史的背景10-13
- 1930年代
- 1934年 世界で初めてPKUが同定される
- 1950年代
- 1950年 日本で初めてPKUが報告される
- 1953年 世界で初めてPhe制限食事療法の効果が報告される
- 1960年代
- 1961年 米国企業から無償提供を受け、日本で初めて特殊ミルクがPKU治療に使われる
- 1963年 国産初の先天性代謝異常症用特殊ミルクが医薬品として承認される(1965年薬価収載)
- 1965年 日本で初めて尿によるPKUのスクリーニングが実施される
- 1970年代
- 1977年 公費負担による新生児マススクリーニングが全国で開始される(検査法は血液によるガスリー法)
- 1977年 PKUの勧告治療指針が作成される
- 1980年代
- 1980年 特殊ミルクの安定供給を行う、特殊ミルク事務局が発足
- 1990年代
- 1992年 異型高Phe血症を効能として、サプロプテリン塩酸塩が承認される
- 1995年 PKU勧告治療指針第1次改定
- 2000年代
- 2008年 サプロプテリン塩酸塩にBH4反応性高Phe血症の効能追加
- 2010年代
- 2012年 PKU勧告治療指針第2次改定
- 2014年 全国で新生児マススクリーニングにタンデムマス法が導入される
- 2015年 PKUが指定難病に指定される
- 2015年 新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン策定
-
2019年
新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン改訂
年齢や性別を問わず血中Phe濃度の管理目標が「2~6mg/dL(120~360µmol/L)」とされた
- 2020年代
- 2023年 日本においてパリンジック®の製造販売承認を取得